石川・富山エリア研修会報告 『 スタチン系薬剤の特性について 』

今回は、富山県富山市本郷町にございます 『 本郷はなの木薬局 』
の福島薬剤師が 『スタチン系薬剤の特性について』 という演題で発表を
してくださいました。

脂質異常症という疾患のお話から始まり、各スタチン系薬剤の特徴までしっかりと
盛り込まれており、幅広い演題に対し細部まで行き届いたお話でした。

まず疾患の基礎として、TC (Total Cholesterol:総コレステロール) の
人の体内での代謝から勉強しました。外因性コレステロールの摂取が増えると、
内因性コレステロールの生成が減るなど、人の体は実に本当にバランスがとれた
組織です。
『脂質異常症』 と一口に言っても、高値を示すリポタンパク質の種類によって、
引き起こす病態や治療法など様々に違いがあります。コレステロール摂取を制限
するのは、LDL (Low Density Lipoprotein) 高値の場合、エネルギーや
アルコール摂取を制限するのは、カイロミクロン/VLDL (Very Low Density
Lipoprotein) 高値の場合 ・・・ など、食事制限の方法も違ってきます。

学生の頃とは異なり、これらを勉強する際に、目の前に患者様の存在を感じられる
ようになった気がします。

< 緊張しながら発表中の福島薬剤師 >

次に、演題のメインである、スタチン系薬剤の各特色について発表をして
頂きました。

各スタチン系薬剤の、構造的特徴・代謝、半減期、横紋筋融解症発症率、
薬物相互作用など、現場の薬剤師として興味深いデータが多くあげられました。
参考にされた文献が大学病院薬剤部出身、大学院薬学研究科教授によるもの
であったこともあり、薬学的観点から非常に興味深かったです。

『グレープフルーツジュースとの相互作用』は、カルシウム拮抗剤処方時の
初回服薬指導では必須です。
しかし、添付文書に記載はありませんが、このスタチン系薬剤にも、グレープ
フルーツとの相互作用注意をするものがあり、裏づけがあるデータも取れて
いるということでした。

余談ですが、ほとんどのカルシウム拮抗剤で、このグレープフルーツとの相互作用に
関する注意書きが薬剤情報提供文書に記載されます。ですが、本当に注意が
必要なのは、そのうちの一部であるはずです。

私たちは、本来の情報と大まかな範囲の情報とをしっかり見極めることが大切であり、
そこが専門性発揮に繋がるのだなと、改めて感じました。

今回の発表内容を踏まえて、食事療法を実施しているのに検査値が改善されない
などの主訴に、どうお話させて頂いたらよいかなど、議論を呼びました。
原発性であれば、先述した高値を示すリポタンパク質の違いにより説明されます。
実際にお話を聞いてみると、制限しているのは魚介や卵だけ、という可能性もあります。
それで良い場合も、あるいは不十分な場合もあるということでした。

医療の世界は、勉強するたびに本当に奥が深いと実感させられました。
今回のお話は、私たちが基本とする添付文書から、さらに1歩超えたものであり、
大変勉強になったと同時に、意識向上にも繋がりました。

福島薬剤師、どうもありがとうございました!!

もりの里はなの木薬局
上山 小草

2011.1.21