新しい糖尿病治療薬の勉強会に参加しました

今日は薬局の同僚数名とかんぽの宿恵那で行われた勉強会に参加してきました。

テーマは「糖尿病の病態とインクレチンについて」

インクレチン?あまり耳慣れないので、今日はインクレチンを理解するのが私の目標でした。

インクレチンというのは食事摂取にともない消化管から分泌されるホルモンで、インスリン分泌を促進する働きがあります。現在、GIPとGLP 1の2種類が同定されており、GIPは十二指腸および小腸上部、GLP-1は小腸下部と大腸から分泌されています。

この、GIPおよびGLP-1が・・・

膵臓のβ細胞に働く⇒インスリン分泌促進

膵臓のα細胞に働く⇒グルカゴン分泌抑制

結果、血糖値が低下します。

しかもこのインクレチン、インスリン分泌促進作用は血糖値により左右されるそうで、血糖値が高いときはインスリン分泌を促進するのですが、血糖値が低いときはインスリンの分泌促進しないという特徴があります。なので、低血糖の副作用がおきにくいと説明がありました。具合のいいホルモンですね。

しかし、インクレチンは体内にあるDPP-4という分解酵素により速やかに分解・失活してしまいます。

なので、このDPP-4の働きを阻害してやって、インクレチンを高め血糖値をコントロールしていくのがグラクティブの作用機序らしいですよ。

2型糖尿病の治療の新しいアプローチとして、2型糖尿病の方はインクレチンの産生が低下しているか効果が下がってしまっているので、「インクレチンを高める」ことが新たに選択肢として増えます。具体的には、

DPP-4を阻害する

GIP,GLP-1を注射する

この二つがあります。 は注射が現在開発中らしいですが、 の経口剤としてはグラクティブ、ジャヌビアがあります。(ちなみに、グラクティブもジャヌビアも成分は一緒)

1日1回でいいらしく、しかも食事の影響を受けないので食前でも食後でも可ということで、服薬コンプライアンスはよくなりそうだなと感じました。いや実際、糖尿病の治療中の方で、1日3回毎食直前にα-グルコシダーゼ阻害剤(ベイスン、グルコバイなど)服用中の方は薬が余ってしまうことが多いですからね。

排泄は、16%が肝代謝、残りが未変化体として尿中排泄されます。なので、重症の腎障害には使用できません。糖尿病性腎症の人もいるだろうから、ここは注意が必要と感じました。

もうひとつ、新規発売なので2週間の投与上限があるのはわれわれとしてはネックかな。長期で出せるようにならないとね。。。

詳しく知りたい方は万有製薬のジャヌビアのサイトに作用機序の動画があるので見ると良く分かると思います。

ちなみに、このかんぽの宿のお風呂、私のお気に入りですspa勉強会の前にお風呂に入ろうか少し迷いましたが、さすがにやめておきました(笑)

坂下店 夏目

2009.11.12